よもぎ湯の歴史と文化|民間療法としての知恵と背景
❶ 暮らしに根づいた薬草の知恵
日本には、草を暮らしに取り入れてきた長い歴史があります。
なかでも「よもぎ湯」は、古くから人びとの生活に寄り添ってきた、もっとも身近な薬湯のひとつでした。
よもぎは“ハーブの女王”とも呼ばれるほど、豊富な効能を持ちます。
血行促進、冷えの改善、殺菌や抗炎症作用……。
これらのちからを「お湯に移す」という形で活かしてきたのが、よもぎ湯の知恵です。
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❷ 魔除けと健康祈願の草として
古代から、よもぎは「邪気を祓う草」として神聖視されてきました。
平安時代の文献にも、よもぎを束ねて軒に吊るす風習が記されており、これは「魔除け」としての意味を持っていたとされます。
特に重要なのが、端午の節句(5月5日)。
本来、男の子の節句というよりも、季節の変わり目に無病息災を願う「厄払い」の日でした。
この日によもぎと菖蒲を束ねて風呂に入れる「薬湯」は、古くからの習わしのひとつ。
草の香りと湯気が、身を清め、病を遠ざけると信じられてきたのです。
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❸ 産後・病後の回復に寄り添う「養生湯」
また、民間療法の中では「産後によもぎ湯につかる」風習も広く伝わっています。
血行を促し、冷えを和らげ、自然治癒力を引き出す。
薬が手に入らない時代には、こうした草の湯が、何よりの“くすり”だったのかもしれません。
一説には、よもぎの成分が皮膚や子宮の回復を助けるとして、産後の入浴にすすめられてきた背景もあります。
また、風邪の治りかけなど病後の回復期にも、身体を芯から温め、力を取り戻すための「草の湯」として用いられてきました。
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❹ 暮らしに戻す、草の力と癒しの時間
私たちが育てているのは、そんな背景をもつ在来のよもぎです。
現代では、香料や入浴剤が簡単に手に入る時代ですが、草そのものを煮出してお風呂に入れる。
たったそれだけのことが、心と身体に深い影響を与えてくれるのを感じます。
肌にふれるお湯があたたかく、草の香りが静かに広がる。
どこかで身体が、ほっと息をつくような、そんな草の時間を、これからも丁寧に届けていきたいと思います。
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よもぎの里を潤す、山の湧き水。
静かなせせらぎが、今日もわたしたちを整えてくれます。
岐阜・郡上の山あいで、在来のよもぎを無農薬で育てています。
「草のちから」がそっと寄り添うような製品を、これからも一つひとつ丁寧にお届けしていきます。
このnoteが、どこかの誰かにとって、草と自分をつなぎ直すようなやさしい時間になればうれしいです。
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